一、
次の文章を読んで、問いに対する答えとして最も適当なものを、14の中から一つ選びなさい
  俺の今日の夕食はヒレカツ弁当だった。いつもはせいぜい鳥そぼろか幕の内なんだけど、店長が帰りしな、にこにこ笑って言ってったのだ。「林君、今日はヒレカツ弁当を食べていいぞ。クリスマスなんだからな」って。ありがとうございますって言ったけどさ、何ていうか、クリスマスイブのヒレカツ弁当はかえって侘しかったな。
  今年の場合、バイトがなくても他に予定があるわけじゃなかったし、店長のせいで侘しいわけじゃないけどね。それにしてもばかばかしいよな。何でクリスマスだと俺が侘しくならなきゃいけないのかな。おめでたい日なのにさ。イエス様の誕生日、生きてたらいくつになるんだろう。天にましますイエス様、見えますか。僕は健気に働く勤労学生です。もしも哀れに思し召すなら、②願いの一つも叶えてください。たとえば英文科の加藤さんが突然何か買いに現れるとかーーまさかね。
  時計は午後十時を指している。客がとだえたので、俺はモップをひっぱりだして床をふく。結構きれい好きなんだ。汚れた靴で足跡なんてつけられると、早くふきたくて③うずうずする。
  ドアの開く音、四、五人の集団客の気配。
  「いらっしゃいませ」
  ④反射的に明るい声をだし、俺って軽薄だな、と思った。レジに戻ると、客は男女四人組、どう見ても十六歳、二輪免許とりたてって感じのガキどもだった。大声で騒ぎながらお決まりの品物をカゴに入れていく。もっともチキンのかわりにポテトチップス、シャンパンのかわりにコークのペットボトルを買うあたり、やっぱり⑤高校生のチョイスだな。え?コーンフレークと牛乳も買うの?おいおい、止まっちゃう気か。いいのかよ。女の子たち、家の人には何て言ってきたんだ。
  …何やってんだ、俺。⑥大きなお世話だよな。ガキのプライバシーが詮索するなんて。あー、情けない。
  (注1)        帰りしな:帰るときに
(注2)        侘しい:さびしい、貧しい感じがすること。
(注3)        まします:「在す」の尊敬語。いらっしゃる。
(注4)        健気:一生懸命やっている様子
(注5)        思し召す:思っていらっしゃる
(注6)        軽薄:軽い感じで、考えが深くない様子
(注7)        詮索する:細かく事情を聞いたり調べたりする

問1】①「それにしてもばかばかしい」とは、何がばかばかしいのか。
1、クリスマスはおめでたい日なのに、自分は予定がなくてさびしい気持ちになること
2、店長がヒレカツ弁当を食べてもいいと言ったが、他の弁当とあまり差がないこと
3、クリスマスにアルバイト先で、どんな夕食をとるかあれこれ迷うこと
4、イエスは昔の人なので、会えるはずもないのに何か願いごとをしようとすること
問2俺の「願い」とはどのような内容ですか。
1、おいしくて豪華な夕食を食べること
2、憧れの加藤さんがこの店にくること
3、楽でお金のもらえるアルバイトをすること
日产4、クリスマスにきれいな女性と出会うこと
問3】③「うずうずする」とはどのような意味ですか。
1、すぐにやりたいのをおさえている落ち着かない気持ち
2、時間が過ぎていくのを感じて残念に思うこと
3、早く仕事を片付けたくていらいらするような気持ち
4、汚いことが嫌いで、いつもきれいにしたいという気持ち
問4どのような気持ちの時に「反射的に明るい声をだし」たのか。
1、もっとおいしいものを食べたいと思っていた時
2、特に予定がなくてさびしいと思っていた時
3、可愛い女の子に会いたいと思っていた時
4、アルバイトが終わったら何をしようかと思っていた時
問5】⑤「高校生のチョイス」とはどのようなことですか。
1、高いレストランに行かないで、コンビニで買い物をしていること
2、好きな人と二人きりではなくて、友達みんなでにぎやかに過ごすこと
3、鳥の料理やお酒ではなくて、ポテトチップスやコークを買うこと
4、アルバイトをするのではなくて、友達と会っていること
問6】⑥「大きなお世話だおな」とは、だれに対して大きなお世話なのか。
1、店長    2、英文科の加藤さん   3、高校生たち   4、家の人
二、
次の文章を読んで、問いに対する答えとして最も適当なものを、14の中から一つ選びなさい

  新幹線のプラットホームの駅名表示は、その駅から乗る人やその駅で降りる人には必要ない。乗る人にはわかりきっていることだし、降りる人には車内でのアナウンスなり何なりがあるからである。そうすると、通過する列車の乗客のためにしか役立たないものだが、それにしては新幹線のスピードが速すぎるのか、表示の字が小さすぎるのか、とても読めたものではない.つまり、何のために新幹線のプラットホームに駅名が書いてあるのだろうか。
              (岡部冬彦「岡部冬彦の見る聞く話す」発明協会による) 

問い 筆者が、言いたいことは何か。 
 1 新幹線に乗る人、降りる人、もっと駅名に注意するべきだ。
 2 新幹線の車内アナウンスは、駅名をはっきり言うべきだ。 
 3 新幹線はスピードが速すぎて、乗客にとって危険だ。
 4 新幹線のプラットホームの駅名表示は、ほとんど役に立っていない。

三、
あるイギリスの文章学者が、文章に上達するには次のようにすればよいと進めている。
まず自分が好んでおり、なるべくならば、そのような文章を書きたいと考えている作家の文章を選び出す。この文章は、人が上達するに従って変わってくるものだから、初めはそうやかましく考えなくてもよい。とにかくいい文章だなと思ったものを拾い出す。そうして、それの梗概を作る。例えば、原稿用紙一枚ぐらいの文章であったならば、それを5、6行の梗概にしてしまうのである。こうして一週間ほどたって、今度はその梗概を基にして、前の文章を復活してみるのである。前の文章を思い出すというたてまえでなく、むし
ろ梗概に基づいて新しく文章を書いてみるというくらいの気組みで、文章を復活してみる。そうして、その結果できた文章を原文と比べ、その出来栄えを検討するのがよい、というのである。
この方法は文章の新しい方法として推奨に値すると思う。昔は文章の上達にはよく名文の暗誦が主張された。しかし今の学生は文の暗誦ということになれていない。②この方法がよいのは恐らく中学校3年までであろう。中学校3年ぐらいまでだと、記憶力も非常にあるし、また己を捨てて文章を見覚えることもできるのであるが、高等学校以上になると、自分というものもできてくるし、文章のいい悪いについても自己流なりの批評眼が備わってくるので、なかなか暗記ができない。また自分ができかけると、自然、暗誦というような機械的な、己をむなしくしたような作業はできにくくなるものなのである。
それで高等学校生などから上の人には、よい文の復活と言う方法がちょうどこの年頃の気持ちに合っているかもしれない。現代はいったいあまり棒暗記を喜ばない時代だから、特にこの方法は面白いと考えられる。
この場合、復活作業のときに、元の文章を一字一句同じにしようと心をくだかないほうが
いい。覚えているところはそのまま書くがいいが、覚えていないところは自分で考えて、だいていこんなふうだったと考えるとおりに書いていく、そうして後で比べることが大切なのである。
(「一つの文章修業」による)
問1 あるイギリスの文章学者が進めている文章上達法は次のどれか。
  1 まず気に入った文章を選び,暗誦する。次は翌日に、暗誦した内容を原稿用紙に書いてみる。後は元の文章と比べてみる。
  2 まず気に入った文章を選び,暗誦する。次は一週間ほどたってから、暗誦した内容を原稿用紙に書いてみる。後は元の文章と比べてみる。
  3 まず気に入った文章を選び,その梗概を作る。次は一週間ほどたってから、その梗概を基にして前の文章を復活してみる。ただし、復活といっても元の文章と同じようにする必要は無い。
  4 まず気に入った文章を選び,その梗概を作る。次は一週間ほどたってから、その梗概を基にして前の文章を復活してみる。復活の際、なるべく元の文章と同じようにしよう
と心掛ける。
問2 ①「この方法は文章の新しい方法として推奨に値すると思う」とあるが、筆者はその方法をどういう人に推奨しているのか。
  1 小学生
  2 中学校3年までの人
  3 高等学校生などから上の人
  4 日本の作家たち
問3 ②「この方法」とはどんな方法か。
  1 高校生たちの用いるべき方法。
  2 筆者の独自な方法。
  3 あるイギリスの文章学者の進めている文章上達法。
  4 名文を暗誦する文章上達法。
 
四、
1、いわゆるのよい人は、いわば足の速い旅人のようなものである。人より先にまだ行かないところへ行きつくこともできるかわりに、途中の道端やあるいはちょっとした脇道にある肝心なものを見落とすおそれがある。の悪い人は、すなわち足ののろいひとがずっと後からおくれてきて、わけもなくその大事な宝物を拾って行く場合がある。
問題:
内容に最もあっているものを次の中から選びなさい。
A、がよいからといって、安心してはいけない。
B、のよい人の欠点と悪い人の長所を述べている。
C、のよい人は人よりおくれる。
D、の悪い人はときどき得をすることがある。
2、新聞は、写真や絵を使ったり、図表をのせたりすることができます。これに対してラジオは、その現場の音を入れたり、関係のある人の話を直接に聞かせたりすることができ
るという長所があります。テレビは、目で見られるものは何でも使えます。動いている現場の姿をそのまま見せることもできます。でも、じっくり長い時間をかけて見なければならないものや、細かい絵や図表などは、新聞にゆずらなければなりません。このように、新聞にも、放送にも、それぞれ特があります。それぞれ特をわきまえて、わたしたちの生活の中に生かしていくようにしましょう。
問題:
作者の主張は次のどれか、いちばん正しいものを一つ選びなさい。
A、新聞のもつようさと放送のもつようさをよく調べることだ。
B、総合的に見ると、やはり放送は新聞にゆずらなければならない。
C、新聞と放送の特長をうまく生活に生かすことだ。
D、新聞と放送の特長をたたえることだ。